穴澤天神社

稲城市のまん中を流れる三沢川。その最も下流の京王よみうりランド付近は、すがすがしい緑につつまれた遊歩道になっている。

その途中には、穴澤天神社のある山から湧き出る御神水の泉があり、地元の人などがペットボトルや水筒をもってこの水を汲みにやってくる。

そこから階段を登っていけば、こんなに駅に近いとは思えないほどひっそりとした穴澤天神社境内へ出る。昔、この地の人たちが、雨が降るたびに多摩川の洪水に悩まされていたとき、神懸かりになった少年が、ここに天神様を祀れば川の氾濫は納まる、という託宣をくだし、半信半疑ながらも村の人たちがつくったのが、この穴澤天神社だという。そして天神様のおかげか、それからは多摩川はぴたりと荒れ狂うのをやめたという。

この穴澤天神社には代々伝えられている「江戸の里神楽」が残っており、国の無形文化財に指定されている。毎年8月30日の例大祭にここで奉納されるほか、府中の大国魂神社、狛江の伊豆美神社、調布の厳島神社などにも奉納されている。

さて、境内をまっすぐに出て鳥居をくぐり、右手の坂を下りれば駅方面だが、左手、鬱蒼とした森のなかへ勇気を出して入ってみよう。


けもの道を登っていくと…

けもの道のような道なき道を登っていくと、山の上の開けた場所に出る。ここは石川城址。鎌倉時代の豪族・稲毛三郎重成の息子小沢小太郎(二郎重政)のお城があった場所だとか。樹々のあいだから見える遠望はなかなかだし、お弁当を食べられるベンチもある。
ちなみに、ここはすでに神奈川県だ。